第7回 北の海鳥たち
海鳥としては、カイツブリ類、アビ類、ウ類、海ガモ類、カモメ類、ウミスズメ類、ミズナギドリ類、シギチドリ類が主なものとして挙げられますが、この中で、見られそうで、見られなかったのが、ミズナギドリ類です。奥尻島への航路では、ハシボソミズナギドリ、オオミズナギドリが滑空する姿を見せていましたが、鴎島から沖を見ても見ることがかなわなかったところです。
カイツブリ類では、カイツブリを除く、日本で見られる残りの4種のカイツブリを見ることができました。この中でもアカエリカイツブリは、アフリカのカイツブリが見せる、水面に立って求愛ダンスする格好をしたところを写真に納めることができ、大元の行動は、近縁種ではあまり変わらないのだなと感じました。
秋から春にかけては、江差の港湾内にハジロカイツブリが集団で餌を採っている姿を毎日観察できました。目がルビーのように赤いので、近くで目が合うことがしばしばあり、強烈な印象が残っています。また、水上に浮かぶ姿は、おしりが大きく持ち上がって、白いおしりがまるで、大きなおむつをした子供のように見えるのがかわいいです。
カンムリカイツブリは、冬羽根では、タラちゃんカットになり、やや貧相なのですが、春になると夏羽根で、機動戦士○ンダムに出てくるロボットのような頭となり、まさにカンムリカイツブリの名にふさわしい姿になります。そんな重そうに見える頭で、開陽丸の付近をよく魚を追いながら潜水していました。

ハシジロアビ
アビ類では、ハシジロアビが港の中に入ってきて、餌取りをしていましたが、その太くて立派な嘴が印象的でした。アビやオオハムのような細い感じではなく、が体がよく、いかにも大きな魚を食べそうな感じでした。
オオハムは、春に津花の海岸で病気にかかったのか、弱って波に揺られながら、やがて上陸しへたっていたものが印象的でした。数時間後にはハシブトガラスにその亡骸の腹部が食べられていました。一番多く見たのもオオハム(ただし、シロエリオオハムとの区別はできませんでした)で、開陽丸側の内湾や港湾内でもよく見かけましたが、春、秋には、外海で数羽が浮かんで休んでいる姿も何度か見かけました。アビは、嘴の反り具合がはっきりしていたので、一目でわかりました。ただ、振り返れば1回の確認しかないので、案外貴重な野鳥かとも思いました。

ヒメウ
ウの仲間に関しては、いつもいるウミウと、秋から春にかけての寒い時期に集まるヒメウ、秋の渡りの時期に南に向かい移動するカワウの群れを見ることができました。ヒメウに関しては国のレッドデータブックではENのランクで絶滅危惧IB類に該当し、タンチョウよりもランクが高い種に指定さています。
なぜそんな貴重なものがよく見られるのかというと、オホーツク海の島々などで繁殖したものが、冬に南の日本方面にたくさん渡ってくるからで、ランクが高いのは、日本国内で繁殖する個体が少ないからということが要因となっています。

シノリガモ
海ガモ類は、主に秋から春の寒い時期に多く見られ、頻度の順ではシノリガモ、ウミアイサ、ホオジロガモ、クロガモ、ホシハジロ、ビロードキンクロ、スズガモで見ていますが、やはり、その模様と笑える行動から、シノリガモのオスはとても印象に残っています。全体に濃い藍色している中に、フランス料理で皿に飾り付けされるソースのように無造作につけられたような真っ白な模様と、えんじ色のお腹のコントラストは、ファッションショーに使えそうだといつも感心して見ていました。
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