第5回 かもめ島の小鳥たち
コサメビタキ
学生時代は、全国各地に出向いて野鳥を見ていたと言っていましたが、野鳥研究会の部員の間では、国内で300種を見ることが一人前の称号を持つ意義であったにもかかわらず、大学卒業当時240種と、国内で五百数十種確認されている半分にも満たない状況でした。実はワンゲル部という登山を本業とするサークルにも所属し、そちらがメインであったこともあり、ライチョウ (エゾではありません)やイヌワシなど、山岳性の種類で野鳥研究会の部員が誰も見ていないものを見ていたのですが、やはりそう多くは種を見ていない状況にありました。
野鳥研究会の部員は、私が山に行っている間、小笠原や沖縄に行って、南国の固有の野鳥や洋上の海鳥を多く見ていたからです。そうかと言って、ワンゲルで山に行ってもそう多くの種類を見るわけもなく、特に双眼鏡は当時、登山の際、重くなるから持参を厳禁にされていました。
前置きが長くなりましたが、そういうこともあり、森林性の小鳥でも案外見ていない種類があり、鴎島で印象に残る出会いのあった種類がいくつかあります。
その中でも地味なのですが、コサメビタキ、サメビタキ、エゾビタキが印象にあります。特徴のある野鳥ではなかったのですが、コサメビタキは、8月から11月頃までほぼ毎日観察できたことから、相当数が渡りに参加していたのだと思います。
一方、なんか変なコサメビタキと思い、写真で撮影して初めて、サメビタキ、エゾビタキとわかったところです。今考えれば、声も小さく、これといった特徴もなく、これまでもほぼ見逃していた野鳥で、初めて鴎島で、飽きるまでじっくり見ることができたなと思っています。
このほかにも、内地では冬によく見かけたジョウビタキも、春と秋には鴎島に立ち寄り、本当に久々に見ることができました。灰白黒茶の鮮やかなコントラストと、少しビビビと尾羽を振るわせる仕草も懐かしく、ヒッと一声だけ鳴くのも、「おお、そうだったね」と納得したところです。
ジョウビタキ
コマドリ
ルリビタキ
また、コマドリ、ノゴマ、コルリ、ルリビタキ、アトリ、イスカ、ハギマシコなども鮮やかに目に焼き付く、鴎島でのよい思い出になった小鳥でした。
コムクドリ
鴎島では、いくつかの種類が夏の間に巣を作り、繁殖をしています。大きい順には、カルガモ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ハヤブサ、イソヒヨドリ、コムクドリ、ハクセキレイ、ホオジロ、カワラヒワ、シジュウカラ、スズメの繁殖を確認しています。
この中で、小鳥と呼べるのは、イソヒヨドリ以下の種類ですが、特に多かったのは、ハクセキレイです。草むらの奥の方に巣を作り、餌を加えた親鳥が餌をくわえて、周りの様子を伺いながら、草むらに消えていく姿をよく見かけました。
ハクセキレイ
また、小鳥の中で一番賑やかだったのは、コムクドリで、他の小鳥ができるだけ静かに子育てしているのに対し、それはそれは賑やかなヒナたちで、ここにいるぞといわんばかりにギャーギャーと鳴いて、親に餌をねだっていました。巣は、木に開いた穴や廃屋の海の家のトタン煙突を利用していました。ただ、ハヤブサに食べられた残骸の中によくコムクドリの羽が混じっていたので、声が大きいと狙われやすいのだなと思ったところです。
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